【苔図鑑】コツボゴケの特徴(育て方・増やし方・植え方など)

苔[コケ]
名称コツボゴケ (コツボチョウチンゴケ)
分類【マゴケ植物門(蘚類)】チョウチンゴケ科 ツルチョウチンゴケ属
育成の難しさやや容易 (★★☆☆☆)
乾湿やや湿潤地 (湿 □■■□□ 乾)
日当り半日陰 (陰 □■■□□ 陽)
成長の早さやや早い (★★★★☆)
高さ低い (2~3㎝)
増やし方蒔き苔法・移植法

コツボゴケの性質・育成のコツ

コツボゴケは、テラリウムだけでなくアクアテラリウムにも使用される人気の苔です。半日陰の水気のある場所を好み、明るい場所であれば常に水がかかるような場所でも育ちます。

葉は透明感とツヤがあり、いかにも水辺の植物という印象があります。また、とても小さな葉を規則正しくつけるため、可愛らしい雰囲気もあり、ミニチュアのフィギュアとの相性も良いです。

丈夫な苔なので、育てるだけなら簡単なコツボゴケですが、元気で綺麗な状態で育てるにはジメジメした場所ではなく、適度な排水性のある土と適度な換気、小まめな霧吹きが必要になります。

苔テラリウムで相性の良い苔

タマゴケ、ヒノキゴケ、シノブゴケ、ハイゴケ、カサゴケ、コウヤノマンネングサなど。

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コツボゴケの詳しい特徴

コツボゴケの葉

チョウチンゴケ科の苔は似たような見た目のものが多く、同定[どうてい]は困難なことが多いです。しかし、コツボゴケの葉は独特な特徴があるため、ルーペで確認すると分かりやすいです。

コツボゴケの葉は先の尖った卵型をしており、半分から先端にかけては鋸歯[きょし](ギザギザした縁)があり、半分から付け根にかけては全縁[ぜんえん](ギザギザがない縁)になっています。また、中肋[ちゅうろく](葉の中心軸)は葉先が尖っているため、少し飛び出しているようにも見えます。

乾燥時は小さく葉を丸めて色は薄くなりますが、水を含むと元の姿に戻ります。コツボゴケは乾燥にも比較的に強い苔ですが、見た目が悪くなるので小まめな霧吹きを心がけましょう。

コツボゴケの茎

コツボゴケの茎はに伸びるものとに伸びるものが混在しています。上に伸びる茎は約3cmくらいであまり長くはありませんが、横に伸びるものは仮根[かこん]を出しながら分岐し、約6cmくらいまで伸長します。

そのため、コツボゴケは横に這うように広がりながら生長するという印象が強く、直立しかしない苔に比べると繁殖がしやすいです。

コツボゴケの胞子体

コツボゴケの胞子体が出てくるのは、直立した雌株の茎の先端にある造卵器[ぞうらんき](卵をつくる生殖器官)の中からです。

蒴柄[さくへい]の色は褐色で、蒴[さく]の色は黄色っぽい緑色をしています。また、形は円筒形で、提灯[ちょうちん]のように蒴柄の先端から垂れ下がります。

ただし、コツボゴケは雌雄異株[しゆういしゅ](雌株と雄株が別個体のもの)であるため、胞子体をつくるためには雄株と雌株の両方の個体が必要になります。

コツボゴケの雄器盤

雄株の茎の先端に付いているのが、雄器盤[ゆうきばん]と呼ばれる生殖器官です。雄器盤は、まるで花が開いたかのような見た目をしており、放射状の花弁のような葉は苞葉[ほうよう]と呼ばれます。

雄器盤の中心部は円形になっており、その中に無数に並んだ造精器[ぞうせいき]が精子をつくります。精子は雨水を利用して雌株の造卵器までたどり着き、その奥の卵に受精すると胞子体がつくられます。

※コツボゴケは雌雄異株ですが、苔には雌雄同株[しゆうどうしゅ](同一個体に造卵器と造精器をもつもの)も多く、その場合は自家受精[じかじゅせい](同一個体で受精すること)が可能です。

コツボゴケが自生している場所

コツボゴケは日本全国で見られる苔です。山林の半日陰になった腐葉土や岩の上によく自生していますが、川の水しぶきが当たる場所に生えていることも珍しくありません。

また、家の庭や公園の近くにも自生していることがあります。周辺に畑や林道が多い場所では、よく生えている苔の一つです。

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コツボゴケの葉と茎は、瑞々しく透き通るような緑でとても綺麗です。また、蒴や雄器盤は可愛らしいので、女性からの人気も高そうです!

コツボゴケの育て方

コツボゴケの基本的な育て方

コツボゴケは、湿度を保った明るい日陰の場所を好むため、室内でも比較的簡単に育てられます。

乾燥にも少しは耐えられますが、萎縮して見た目が悪くなり、乾燥が進むと葉先が茶色く枯れるため、乾かないうちに霧吹きで湿らせるのが良いでしょう。

密閉の容器では湿度を保ちやすいため、コツボゴケに適していますが、長期間蓋を閉ざしていると細長く徒長しやすいため、しばしば蓋を開けて換気するのが望ましいです。

また、コツボゴケは熱と蒸れに弱い苔です。コツボゴケを密閉した湿度の高い瓶の中に入れ、真夏の暑い室内に置いておくと、蒸れて枯れる可能性が高くなります。夏は風通しの良い日陰に置くのが良いでしょう。

コツボゴケは開放型の容器では乾燥に注意し、密閉型の容器では蒸れと徒長に注意するべき苔です。そのため、元気に美しく育てたい場合は、苔の状態を小まめにチェックする必要があります。

コツボゴケの増やし方

コツボゴケは蒔き苔法でも移植法でも容易に増えます。

蒔き苔法の場合は、タネ苔をあまり細かくしすぎると生長が遅くなるため、茎を少し長めに切って用土の上に寝かせるように蒔き、軽く目土[めつち](上から振りかける土)を入れるのが良いです。もともと匍匐[ほふく]する苔ですので、まんべんなく蒔いていれば芽が出た後の仕上がりも自然になります。

移植法の場合は、株をほぐしながら横に引っ張り、薄く面積を広げるように伸ばしていきます。特に混み合っているところが無いように植え付けるのがポイントです。

成長の早さは、蒔き苔法よりも移植法のほうが早いようですが、どちらも乾燥させないように管理する必要があります。コツボゴケは環境が良ければどんどん増えるため、小まめな霧吹きを忘れないようにしましょう。

コツボゴケの植え方

他の苔にも言えることですが、コツボゴケを植える前には茶色く枯れた部分をあらかじめ取り除いておきましょう。特に水気の多い密閉した容器内で育てる場合には、その部分からカビが発生しやすくなるため注意してください。

植え付けの際は、苔が土から浮いていると乾燥が早くなるため、土に仮根を挿すように植え込みます。先が尖っているピンセットなどで植えると良いでしょう。

生長は早いほうなので、密集したまま植えると短期間でかなりのボリュームになります。そのため、他の苔と一緒に植える苔テラリウムでは、ほぐしながら薄く植えるようにするとバランスがとれやすくなります。

コツボゴケに使う土

栽培を考えるのであれば、保水性と排水性を高めた配合の土が望ましいです。

例えば樹皮培養土や腐葉土で保水性を高め、川砂や富士砂などを混ぜ込むことによって排水性を高めます。配合の割合は栽培する容器に応じて変更し、密閉容器であれば排水性を高めに調整しても良いでしょう。

しかし、苔テラリウムなどに植える場合は、他の苔と同様の土(黒土や赤玉土、ソイルなど)だけでも問題ありません。

また、コツボゴケは仮根が出やすいため、土だけでなく石や流木などの基物にも着生させやすいです。山の方で自生しているコツボゴケは、崖崩れ防止用の人工壁にもしっかりと仮根を巡らせて張り付いています。

MAKO

コツボゴケは丈夫な苔ですが、見た目を保つなら日々の様子をチェックし、必要に応じて水やりや換気を行いましょう!

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