【苔図鑑】ホソバオキナゴケの特徴(育て方・増やし方・植え方など)

苔[コケ]
名称ホソバオキナゴケ (山苔・饅頭苔)
分類【マゴケ植物門(蘚類)】シラガゴケ科 シラガゴケ属
育成の難しさ容易 (★☆☆☆☆)
乾湿やや乾燥地 (湿 □□■■□ 乾)
日当り半日陰 (陰 □■■□□ 陽)
生長の早さやや遅い (★★☆☆☆)
高さ低い (1~3㎝)
増やし方移植法

ホソバオキナゴケの性質・育成のコツ

ホソバオキナゴケは、半日陰を好みますが、ジメジメしたところではなく、やや乾燥気味で涼しい場所を好みます。

乾燥すると葉が縮む苔は多いですが、ホソバオキナゴケは乾燥しても形状は変化しません。そのため、見ためをキープするのが容易であり、盆栽や苔テラリウムに使われる定番の苔となっています。

ホソバオキナゴケの見た目は、小さな芝生や牧草のようにも見えるため、苔テラリウムではミニチュアの動物(馬や牛など)のフィギュアと一緒に使われることが多いようです。

苔テラリウムで相性の良い苔

タマゴケ、ヒノキゴケ、シノブゴケ、タチゴケ、コウヤノマンネングサなど。

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ホソバオキナゴケの詳しい特徴

ホソバオキナゴケの葉・胞子体

ホソバオキナゴケアラハシラガゴケは、どちらも「山苔」「饅頭苔」と呼ばれ、見た目も似ており、区別をされないこともあります。

しかしよく見てみると、ホソバオキナゴケの葉先は短く丸みを帯びており、芝のように生え揃っているという特徴があります。(アラハシラガゴケの葉は比較的に長く、葉先が乱れます。)

胞子体は、長さ1cmほど伸びた蒴柄[さくへい]の先に傾いた蒴をつけ、蒴は成熟するにつれて緑色から赤褐色に変化します。胞子体が出てくる時期は、8月頃から翌年の2月頃まで見られることが多いようです。

ホソバオキナゴケの葉の色

ホソバオキナゴケの葉は普段、緑色をしていますが、乾燥してくると白くなります。これは葉緑体を含んだ細胞に、透明の細胞が付随していているために起こる現象であり、葉が湿っていないときは、この透明細胞が光を反射する仕組みになっているからです。

これにより、日光の熱による水分蒸散を抑えたり、苔内部の蒸れを防止する効果があるといわれています。

ただし、乾燥が進むと茶色くなって枯れてしまいます。少し変色しているだけの場合は水を与えると元の緑色に戻る場合もありますが、乾燥している間は生長が止まってしまうため、そうならないうちに水を与えるようにしましょう。

ホソバオキナゴケが自生している場所

ホソバオキナゴケは山地(特に針葉樹林)の木の根元付近や朽ちた木、腐植土の上などに群落をつくります。

また、木の間から優しい光が差し込むような、直射日光の当たらない半日陰を好み、雨の当たらない風通しの良い場所で育ちます。

MAKO

ホソバオキナゴケは多少乾燥していても見た目が悪くならないので、開放的な容器の苔テラリウムや、盆栽・苔盆栽にも最適です!

ホソバオキナゴケの育て方

ホソバオキナゴケの基本的な育て方

ホソバオキナゴケは強い日光を必要としないため、部屋の中でも十分に育てられる苔の一つです。

ある程度の乾燥には耐えますが、極度の乾燥状態では全く生長しません。霧吹きで空気中の水分を小まめに与えることで元気に育てることができます。

ただし、多湿は苦手ですので、水やりは土が軽く湿る程度にとどめ、可能であれば、窓際のような風通しの良い場所に置くようにしましょう。

特にホソバオキナゴケは饅頭苔という別名もある通り、丸みを帯びた半円球状にコロニーを作るため、内側に水分がこもりやすいです。夏場は苔の内部が高温になって蒸れやすいため、涼しい場所に置くようにしましょう。

風通しが良ければカビも発生しにくいですが、枯れた胞子体が付いている場合はカビが生えやすいです。胞子体の役目が終わる冬場には早めに取り除くと良いでしょう。

ホソバオキナゴケの増やし方

ホソバオキナゴケを増やしたい場合は、移植法がおすすめですが、どの方法もかなりの時間がかかってしまうため根気が必要です。

ホソバオキナゴケの移植法は、タネ苔を直径2cmくらいの小さな株に分け、それらを少し離して植えます。直射日光の当たらない涼しい場所で管理し、小さいうちは乾燥させないようにしてください。

順調に育てると1~2年ほどで、小さな株を中心に大きく広がり、厚みのあるコロニーをつくります。

蒔き苔[まきゴケ]法でも増やせないことはありません。新芽がでてくるのはむしろ早いほうであり、薄いシート状でよければ1~2年ほどで完成します。

しかし、半円球状のコロニーができるまではおよそ3~5年の月日がかかると言われているため、ただ量を増やしたいだけの場合は購入したほうが良いかもしれません。

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ホソバオキナゴケの植え方

ホソバオキナゴケを植える際には、仮根と古い土をハサミで切り落としてから植えます。緑の部分だけを残して植えても良いですが、コロニーが崩れてしまう可能性があるため、バラバラにならない程度にとどめるのが良いでしょう。

また、ホソバオキナゴケはしっかりと植えないと、接地面が土から浮いてしまうことがよくあります。そのため、植える際は土に差し込むように植え、植えた後も軽く抑えるようにして土と密着させましょう。

苔テラリウムでは、密閉型・開放型のどちらの容器でも植えることが出来ますが、湿度管理のしやすい蓋付きの容器がおすすめです。

乾燥しやすい冬は基本的に蓋を閉じた状態での管理ができますが、夏の室内で管理する場合は蓋は開けておいたほうが良いでしょう。

ホソバオキナゴケに使う土

苔テラリウムなどに飾るだけの場合(苔の生長はあまり必要としていない場合)は、黒土やソイル(アクアソイル)のみを使用しても問題ありません。

しかし、ホソバオキナゴケを育てるための環境を作るのであれば、自生している場所の土に近い樹皮培養土、もしくは腐葉土やピートモスを使用するのが良いとされています。

ただし、これはあくまでも山地の風通しの良い涼しい場所で育っている苔の話です。室内で育てるような場合は、粒の小さい川砂や赤玉土を同じくらい混ぜ込んで、水はけを良くすると良いでしょう。

MAKO

ホソバオキナゴケは水をやり過ぎなければ、枯らしてしまうことは少ないです。無難に育てるのであれば、少し乾燥気味に育てるのが良さそうですね!

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