部屋の中に置く植物の代表格として、多くの人に知られている観葉植物。そのイメージとしては、総じて日陰に強い印象があるかもしれません。
しかし、観葉植物の中には日光を好むものも多く存在します。そのような植物を日照のない場所で育ててしまうと、徒長や枯れの原因にもなるため注意が必要です。
そこで、部屋の中でも安心して育てられる、耐陰性[たいいんせい](暗い場所でも耐えられる度合い)に優れた観葉植物を厳選してご紹介しようと思います。
最低限の光とは?
日光があまり当たらない場所で育てられる植物でも、薄暗くて文字が読みにくいほど暗い場所では、どのような観葉植物も元気に育ちません。ヒョロヒョロと茎が間延びして、葉がシナシナになり、最後には枯れてしまいます。
日中、家に誰もおらず、カーテンを閉めきり、電気が消灯している場合も同じです。朝出かける際には、レースのカーテン越しに光が差し込むような場所に、植物を移動させるのが良いでしょう。
特に新しい植物を育て始めたころは、植物の状態を毎日観察し、徒長していないか、葉がしおれていないかをチェックするようにしましょう。
耐陰性のある植物
それでは、観葉植物の中でも特に耐陰性があると言われているものから順にご紹介していきます。これらの植物はあまり場所を選ばず、人工の光(照明)だけでも生きていけるため、置き場所に不安がある方にもおすすめです。
アグラオネマ(リョクチク)
アグラオネマ属の植物は、蛍光灯の光だけでも十分に育てられると言われるほど耐陰性があり、非常に人気のある植物です。日光はむしろ苦手な種類であり、最も日陰に強い観葉植物の一つでもあります。
葉の模様は美しい品種が多く、深い緑と淡い黄緑の斑[ふ](本来の色と異なる部分。白や黄色が一般的。)のコントラストが綺麗な「マリア」、スッキリとした細身で白っぽい葉の「シルバークイーン」、ピンク色の葉が印象的な「バレンタイン」などがあります。
ただし、葉の緑色の面積が少ないシルバークイーンやバレンタインは、栄養分をつくる葉緑体が比較的少ないため、やわらかい光ができるだけ長時間あたるような場所に置くと良いでしょう。
アグラオネマの品種にはその他にも、映画「レオン」で主人公が大切にしているアグラオネマ「カーティシー」や、迷彩柄のような葉を持つアグラオネマ「ピクタム」という品種などがありますが、これらは数千円から数万円という、値段の張る品種となっています。
耐陰性 | かなりある (★★★★★) |
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育成の難しさ | 普通 (★★★☆☆) |
生育期 | 5月~9月 |
市販の大きさ | 20cm ~ 60cm 程度 |
価格 | 1000円程度~ |
育て方 | 直射日光の当たらない日陰から半日陰の場所に置き、高温多湿な環境で管理するとよく育ちます。基本的には土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与え、葉の表面には霧吹きをしておくと良いでしょう。 |
冬場の管理 | 寒さに弱いため、できれば15℃以上、最低でも10℃以上の環境で育てたほうが良いでしょう。水やりは回数を減らし、土が完全に乾いてから行ってください。 |
注意 | 湿潤を好みますが、根腐れの可能性があるため、土は少し排水性のあるものを選ぶと良いです。剪定する際は、樹液に触るとかぶれる可能性があるため、触らないようにしましょう。 |
アグラオネマ・ピクタム・トリカラーは品種改良でつくられた模様ではなく、自生している状態で迷彩柄という面白い植物です。…が、アグラオネマの原種は育成難易度が上がるため、初心者の方にはおすすめしません。
オキシカルジウム(ヒメカズラ)
オキシカルジウム(オキシカルジューム)はフィロデンドロン属の観葉植物なので、ツル性であり、窓辺のハンギングプランツにも最適です。また、耐陰性に優れているため、蛍光灯の光だけでも十分に育てられます。
葉の中心軸付近に黄色の斑が大きく入る品種を目にすることが多いですが、より高い耐陰性を求めるのであれば、斑の入っていないものを選びましょう。
斑が入っていなくても、葉には光沢があり、ハート型の葉を沢山つけるため、お部屋に可愛らしい印象を与えてくれます。
もともとは南国の植物であるため湿度を好み、暑さにはかなり強いですが、寒さには弱いので一年を通して室内で管理するのが無難です。
耐陰性 | かなりある (★★★★★) |
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育成の難しさ | やや容易 (★★☆☆☆) |
生育期 | 5月~9月 |
市販の大きさ | 15cm ~ 160cm 程度 |
価格 | 600円程度~ |
育て方 | 直射日光の当たらない日陰から半日陰の場所で管理し、土が乾いてきたらしっかりと水を与えます。その際に、葉に霧吹きもしておくと良いでしょう。 |
冬場の管理 | 寒さに弱いため、できれば10℃以上、最低でも5℃以上の室内で管理しましょう。水やりは控えめにし、土の表面が乾いて3日後くらいを目安に水を与えてください。 |
注意 | 樹液はかぶれる可能性があるため、剪定の際は注意しましょう。 |
アスプレニウム(タニワタリ)
アスプレニウム属の葉は大きくてツヤがあり、フリルのような形状が印象的な観葉植物です。
シダの仲間であるため日光の当たる場所よりも日陰・湿潤を好みます。しかし、乾燥にもある程度耐えられるため、初心者の方でも簡単に育てることが可能です。
鮮やかな黄緑色の葉が綺麗な「エメラルドウェーブ」という品種が一般的ですが、比較的に葉の広い「アビス」や、深い緑色でうねりの激しい「コブラ」などの品種も人気です。
斑の入ったアスプレニウムも存在しますが、あまり市場には出回っていません。アスプレニウムはどちらかというと、葉の色よりも形状を楽しむ品種が多いようです。
耐陰性 | かなりある (★★★★★) |
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育成の難しさ | やや容易 (★★☆☆☆) |
生育期 | 5月~9月 |
市販の大きさ | 20cm ~ 80cm 程度 |
価格 | 700円程度~ |
育て方 | 直射日光の当たらない日陰から半日陰の場所で管理します。乾燥には強いですが、土が乾いてきたらこまめに水を与えるようにすると生長が早くなります。特に葉には霧吹きをして、葉が生えている中心部を湿らせておくのが良いようです。 |
冬場の管理 | 5℃以上の室内で管理してください。 |
注意 | 病害虫にやや弱い植物です。夏は特に乾燥したり風通しが悪いとハダニが発生しやすくなりますので、こまめな霧吹きなどで予防しましょう。 |
シェフレラ(ヤドリフカノキ)
シェフレラ属の植物は「カポック」や「ホンコンカポック」という流通名で販売されていることも多いですが、正式には「シェフレラ」という名称の観葉植物です。
斑入りの品種も多く出回っていますが、やはり斑があるとその分だけ日照を必要とします。日照不足になると綺麗な斑が出ず、かえって見た目が悪くなってしまうため、暗めの場所で育てる場合は葉が緑色の品種にすると良いでしょう。
シェフレラは耐陰性、耐寒性、乾燥に強く、室内外問わずどこに置いても枯れにくいと言われるほど頑健な植物ですが、暑すぎる場所には少しだけ弱いです。真夏は締め切った室内よりも、直射日光の当たらない屋外の涼しい場所に置くのが望ましいです。
耐陰性 | 結構ある (★★★★☆) |
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育成の難しさ | 容易 (★☆☆☆☆) |
生育期 | 5月~9月 |
市販の大きさ | 15cm ~ 180cm 程度 |
価格 | 500円程度~ |
育て方 | 直射日光の当たらない日陰から半日陰の場所で管理し、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水をあげてください。ただし、真夏の暑い時期や真冬には少し乾かし気味に育てるのが無難です。 |
冬場の管理 | 比較的に寒さに強く、3℃を下まわらない地域であれば屋外でも越冬できると言われています。 |
注意 | とても丈夫な種類であり、注意すべきは水の与えすぎによる多湿くらいです。 |
植物初心者の方でも簡単に育てることができ、見た目も良いので非常におすすめです!
マングーカズラ
マングーカズラはエピプレムナム属(ハブカズラ属)のツル性の観葉植物です。葉にモンステラのような切れ込みが入りますが、マングーカズラの葉の形はハート型よりも卵型に近く、ツルを支柱に巻きつけて仕立てたものが多いという違いがあります。
様々な環境に適用できるほど頑健であり、同じ仲間の「ハブカズラ」よりも強いため、マングースに由来する「マングーカズラ」という名前になったと言われています。(ハブカズラやマングーカズラは沖縄にも自生しています。)
オキシカルジウムと同様に、主に南国の地域に自生する植物であるため、比較的に高温多湿を好みます。こまめな霧吹きで葉水をすると、鮮やかでツヤのある葉を保つことができます。
また、寒さにはあまり強くありませんので、年中室内に入れておくことをおすすめします。
耐陰性 | 結構ある (★★★★☆) |
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育成の難しさ | 普通 (★★★☆☆) |
生育期 | 5月~10月 |
市販の大きさ | 150cm ~ 170cm 程度 |
価格 | 14000円程度~ (大きく仕立てたものが多いため価格の高いものが多いようです。) |
育て方 | 直射日光の当たらない日陰から半日陰の場所で管理します。水を好みますので、土が乾いてきたらたっぷりと水を与え、葉水も行うようにしてください。 |
冬場の管理 | 寒さに弱いため、10℃以上の室内で管理してください。また、水は土が完全に乾燥してから与えるようにして、頻度を減らすようにしましょう。 |
注意 | 剪定の際に出る樹液はかぶれる可能性がありますので、触らないようにしましょう。 |
シュロチク(棕櫚竹)
シュロチクは竹ではなくヤシ科のラピス属の観葉植物で、葉を剥いたあとの茎が竹に見えることから「チク(竹)」という名前がついています。
よく似た仲間に「カンノンチク(観音竹)」という種類がありますが、シュロチクはカンノンチクよりも葉が細く、枚数も多いのが特徴です。
シュロチクには、さらに葉が細い「ウンナンシュロチク(雲南棕櫚竹)」という品種があります。いずれも耐陰性に優れた植物ですので、好みのものを選ぶと良いでしょう。
シュロチクは昔から育てられてきた植物ですので日本の気候に馴染んだものが出回っており、寒さにも強いため、初心者でも育てやすい観葉植物といえます。
耐陰性 | 結構ある (★★★★☆) |
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育成の難しさ | やや容易 (★★☆☆☆) |
生育期 | 5月~9月 |
市販の大きさ | 30cm ~ 170cm 程度 |
価格 | 1700円程度~ |
育て方 | 直射日光の当たらない日陰から半日陰の場所で管理し、土が乾いてきたら水をたっぷりとあげてください。また、ときどき霧吹きで葉水をしてあげましょう。 |
冬場の管理 | 寒さには強く、0℃を下まわらなければ屋外での越冬もできると言われています。 |
注意 | 水を切らすと葉先が茶色く枯れてくるため、乾燥状態が続かないようにしてください。また、生長は遅めですが、根詰まりなどでも水切れになることがありますので、最低でも3~4年に1回は植替えを行うようにしましょう。 |
シュロチクはオフィスなどに置かれているイメージがあります。クールで真面目な雰囲気を演出するのにピッタリな見た目ですよね。
シンゴニウム(ミツバカズラ)
シンゴニウム(シンゴニューム)属の多くは、少し尖ったようなハート型の葉が特徴的な観葉植物です。水気を好むため、浴室でも育てられる代表的な植物としても人気があります。
シンゴニウムは、地際から立ち上がった長い茎の先に葉をつける印象が強いですが、ツル性の植物ですので大きくなるとポトスなどのように茎が垂れ下がってきます。その場合は支柱に絡ませるような仕立て方にしても面白いです。
シンゴニウムには様々な色や形の品種があり、葉が白っぽい緑に覆われた「ホワイトバタフライ」、葉の中心付近から斑が入る「シルキー」、淡いピンク色に覆われた「ネオン」、葉の裏面が褐色の「チョコレート」などがあります。
耐陰性で選ぶなら、シルキーかチョコレートなどが良いかもしれません。また最近では、卓上に置きやすいサイズのシンゴニウム「ピクシー」も人気があり、狭いスペースでも楽しむことができます。
耐陰性 | 結構ある (★★★★☆) |
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育成の難しさ | やや容易 (★★☆☆☆) |
生育期 | 5月~9月 |
市販の大きさ | 15cm ~ 50cm 程度 |
価格 | 500円程度~ |
育て方 | 直射日光の当たらない日陰から半日陰の場所で管理し、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与えます。葉もできるだけ乾きすぎないように霧吹きをしてあげると元気に育ちます。 |
冬場の管理 | 寒さには弱いため、10℃以上の室内で管理してください。 |
注意 | 生育期にはよく水を吸うため、水が切れないようにしましょう。また、剪定の際の樹液はかぶれる可能性があるため、触れないように注意してください。 |
まとめ
ご紹介した植物は、観葉植物の中でも耐陰性が抜群の植物です。蛍光灯の光でも育てられると言われている植物を厳選してご紹介しました。
しかし、丈夫で健康な株に育てるのであれば、風通しの良い明るい場所に置いてあげるのが望ましいです。植物の状態をよく見ながら管理すると良いでしょう。
また、日陰を好む植物は、水も大好きな種類が多い傾向にあります。そのような植物には葉に毎日霧吹きをして、健康状態を保つようにしましょう。
今回おすすめした植物以外にも、オフィス内やショッピングモール内で管理されている観葉植物をよく見かけることがあると思います。それらはやはり耐陰性のあるものが多いですので、参考にしてみると良いかもしれません。
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