名称 | タマゴケ |
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分類 | 【マゴケ植物門(蘚類)】タマゴケ科 タマゴケ属 |
育成の難しさ | 普通 (★★★☆☆) |
乾湿 | やや湿潤地 (湿 □■■□□ 乾) |
日当り | 半日陰 (陰 □■■□□ 陽) |
生長の早さ | 普通 (★★★☆☆) |
高さ | 低い (4~5㎝) |
増やし方 | 蒔き苔法 |
タマゴケの性質・育成のコツ
タマゴケは、2月から5月ごろに出す蒴[サク]が玉のような球体になっているため、とても可愛らしい姿になる苔です。蒴が出るシーズン以外にも、葉は細長くふんわりとした星型をしているため、非常に人気のある苔でもあります。
タマゴケは湿潤地を好み、半日陰を好みますので、蓋のある苔テラリウムに入れて部屋に飾るのに適しています。また、寒さには強く、涼しい環境では生長も早いですが、暑さや蒸れには弱いため、夏の時期だけは育成難易度が上がります。
苔テラリウムで相性の良い苔
ホソバオキナゴケ、ヒノキゴケ、コツボゴケ、コスギゴケ、カサゴケ、シッポゴケ、シノブゴケ、タチゴケなど。
タマゴケの詳しい特徴
タマゴケの葉・茎・仮根
タマゴケの葉はスギゴケによく似ていますが、スギゴケとは育つ環境や茎の長さが大きく異なります。(スギゴケは明るく通気性のある場所を好み、茎の長さも5cm~20cmと長いです。)
葉の色は比較的に明るい緑色(黄緑色)をしていますが、ほとんど日の当たらないところで育てられたタマゴケは、濃い緑色になっていることが多いようです。
乾燥にはあまり強くなく、乾いてくると葉が巻くように縮れ、さらに乾燥が進むと、葉の先の方から茶色くなります。
茎は垂直に伸びて枝分かれせずに葉をつけ、仮根は赤っぽい茶色になっているのが特徴的です。
タマゴケの胞子体
タマゴケの最大の特徴でもある玉のような蒴をつけた胞子体は、2月中旬ごろから5月中旬ごろにかけて見られるようになります。
胞子体は受精卵から細胞分裂して生まれてくるものであるため、胞子体を作るには、雌[メス]が雄[オス]から精子を受け取り、卵に受精している必要があります。
そのため、「雄株のみ、雌株のみの群落は受精ができず、胞子体ができない」と言われることもあるようですが、タマゴケは雌雄同株[しゆうどうしゅ](一株で雄・雌の両方の生殖器官をもつもの)であるため、単体での自家受精も可能と思われます。(雌雄同株・雌雄異株は苔の種類によって異なります。)
蒴は、出てきた直後は黄緑色をしていますが、このときはまだ中の胞子は未熟な状態です。胞子が成熟していくにつれ、蒴は先端の蓋の方から褐色に変化していくため、目玉のように見えることもあります。
タマゴケが自生している場所
野生のタマゴケは、森林の湿った岩壁や岩上などによく自生しています。
コロニーは基本的に半円球の形になりますが、この形状は中に水を蓄えてしまうため、夏場の蒸れには特に注意が必要です。
タマゴケは、夏場以外は非常に育てやすく、とても可愛い見た目でありながら、苔テラリウムにも適しているので、僕のお気に入りの苔の一つです!
タマゴケの育て方
タマゴケの基本的な育て方
タマゴケは直射日光に弱く、部屋の中でも強い光が差し込む場所は苦手ですので、半日陰くらいの場所で管理します。
また、乾燥にもあまり強くありません。葉を乾かしてしまうとパリパリになって縮こまってしまい、見た目も悪くなりますので、乾いてきたら早めの霧吹きで湿らせるようにしましょう。
苔テラリウムで他の苔と一緒に育てる場合は、湿度を好む苔と一緒に入れるようにし、蓋のある容器を選ぶと湿度の管理がしやすくなります。
蓋のない容器でもタマゴケが使われることはありますが、その場合は葉の様子を見ながら、小まめに霧吹きをすると良いでしょう。
春にタマゴケから蒴が出てきた場合は、蒴が茶色く変色して枯れると見栄えが悪くなり、カビの原因にもなるため、早めにピンセットまたはハサミで取り除くようにしてください。
タマゴケの増やし方・植え方
タマゴケを増やしたい場合は、特に蒔き苔[まきゴケ]法がおすすめです。タマゴケの葉や茎を細かく切って土に蒔くと、そこから新しい芽が吹きます。(蒔く苔は少量で済むため、効率も非常に良いです。)
特にタマゴケの場合は、苔テラリウムなどに植え付ける場合にも、苔をそのままピンセットなどで張る張り苔ではなく、蒔き苔が使われることがあります。
それは、蒔き苔から出た芽のほうが、その場所の環境に応じた丈夫な苔になりやすいという点や、岩や流木に着生しやすいという点、より自然に生えているように演出できる点などのメリットがあるため、蒔き苔がしやすい苔は積極的に蒔き苔が使われているようです。
ただし、時間はかかります。苔が生長しやすい環境であれば、2~3週間ほどで発芽し、十分に茂ってくるのはおよそ3ヶ月後になります。
タマゴケに使う土
苔テラリウムに入れる際は、基本的にはどの苔も、黒土、ソイル(アクアソイル)、富士砂、溶岩砂などで良いですが、育成するための用土としては保水性のあるものが良いと言われています。
例えば、樹皮培養土や腐葉土、ピートモスがそれにあたります。ただし、それらだけでは保水性が非常に高いため、赤玉土(細粒)と一緒に使うことをおすすめします。
配合する土の種類や比率は人によって異なるようですが、赤玉土と腐葉土を2:1で配合したり、赤玉土とピートモスを3:7で配合したりすると良いそうです。
僕の場合は、腐葉土は臭いがありそうで嫌だったので、赤玉土とピートモスを3:7で混ぜた土をタマゴケ用の土として使い、密閉容器で育てていました。…が、それでも保水性が高すぎて、土がビチャビチャのまま全然乾かないという事態になり、タマゴケの色も悪くなりました。
そのため、密閉容器で育てる場合には配合はせず、赤玉土だけでも十分だと思っています。(僕のタマゴケの現在の土は、赤玉土メインの「小品盆栽の土」に変え、元気に育っています。)
タマゴケの夏場の管理
タマゴケは高い気温に注意
夏はまず、高い気温に気をつける必要があります。気温が高すぎると葉先が茶色くなって枯れ始めるため、管理する場所に注意しましょう。
また、タマゴケの生長は気温が30度くらいになると止まってしまいます。生長を促すのであれば、25度以下を保つようにしましょう。タマゴケは少し寒いくらいの気温のほうが生長が早いです。
日中、部屋にいる場合は、クーラーのついた部屋で、かつ、密閉した容器の中で育てることができれば、温度・湿度ともに問題なく育てることができます。
しかし、仕事に行っていてそれが難しいという場合は、冷蔵庫に入れておくという大胆な方法もあります。タマゴケは寒さには強く、数日間入れたままにしていても大丈夫なほどです。
ただし、冷蔵庫の中には光が一切ありませんので、葉の色が悪くなってくる場合もあります。仕事から帰ってきたら、植物育成LEDライトなどで適度に光を与えると、より元気に育てることができるでしょう。
タマゴケは夏の蒸れに注意
タマゴケは湿度が大事だからといって、夏も同じように水やりをしていると、気温が上がったときに容器の中がサウナ状態になります。
タマゴケは特に蒸れに弱いうえ、半円球の群落をつくって内部に水を溜め込みやすい構造になっていますので、温度管理が難しい場合は水をあまり与えないようにしてください。
また、水を与えた後はすぐに蓋をすると、容器内がこもりやすくなるため、5~10分ほど開けたままにしておくと良いでしょう。
タマゴケの夏の管理は「いかに生長させるか」というよりも、「いかにしのぐか」というイメージかもしれませんね。
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