苔玉の管理は、苔テラリウムや苔盆栽よりも少し手間がかかります。
なぜなら、苔玉は乾燥が早かったり、苔と植えた植物の両方に気を使う必要があったり、水やりのタイミングが分かりにくかったりするからです。
しかし、苔玉の正しい管理方法を知っておくと、育てるのが難しいというわけではありません。苔玉の水やり方法や置き場所、植替えの時期など、苔玉の基本的な育て方についてご紹介します。
日常的な苔玉の手入れ
苔玉の水やり方法
水やりの方法は、苔玉の球体が完全に浸るくらいの水を張ったバケツに入れるという方法が一般的です。霧吹きやジョウロの水では、苔が水を弾いて土の中まで浸透しないことがあるため、このような方法がとられます。
水に浸しておくと、水が土に浸透する際に気泡(空気)がでてきます。この気泡が出てこなくなるまで浸しておくようにしましょう。目安としては5~10分ほどで、苔玉の中まで十分に水が行き渡ります。
水につけた後は、しっかりと水をきって皿の上に戻しましょう。夏場の水やり直後は特に、風通しの良い日陰に置いておくと、蒸れ対策になります。
苔玉の水やりのタイミング
苔玉は用土を苔で覆っているとはいえ、球体の全面が空気に触れているという特殊な植え方であるため、一般的な鉢植えよりも土が早く乾きます。
また、苔で土の表面が直に見えないため、水やりのタイミングや頻度が分かりにくいですが、水やりは土がしっかりと乾いたら、たっぷりとあげるというのが基本となります。
土の乾きを見極めるためには、苔が乾いてきたら苔玉を持ち上げてみましょう。中の土が乾いている場合は水やり直後の重さよりも、かなり軽くなっています。
それでも心配な方は、苔が乾いてきたら竹串を苔玉の底面から刺して数秒後に抜き、竹串が湿っているかどうかを確認するという方法もあります。
しかしこれは、やりすぎると土が崩れてしまう原因にもなるため、頻度がつかめてきたら苔の乾燥と苔玉の重さでタイミングを見定めるようにしましょう。
水やり頻度の目安としては1週間に1回、夏は2~3日に1回くらいと言われていますが、苔玉を置く場所によっても頻度は大きく左右されますので、その環境にあった水やり頻度を自分で見つけていくのが良いでしょう。
苔玉の置き場所
置き場所は植えている植物によって異なりますが、一番良いのは、風通しが良くて直射日光の当たらない屋外と言われています。
ただし、外に置く場合は地熱にも注意する必要があります。特に夏場は、苔玉の中の水分が高温になると蒸れてしまうため、地面から離した棚の上などの涼しい場所に置くようにしましょう。
観葉植物などの耐陰性のある植物を植えている場合は、屋内でも十分育てることが可能です。できるだけ日当たりの良い窓辺などに置くと良いでしょう。
苔玉を枯らしてしまう原因は、乾燥または蒸れが多いようですので、水やりと置き場所には特に気をつけましょう!
必要に応じて行う苔玉の手入れ
苔が茶色くなったときの対処方法
室内に置いている苔玉は、苔の色が茶色くなることがあります。この場合、日照不足や風通しの悪さが原因になっている可能性もありますので、数日おきに外に出すようにしましょう。
直射日光の当たらない明るい屋外に置き、苔が乾いたら小まめに霧吹きをかけるようにして管理します。苔がまだ生きていれば、青々とした新しい苔がでてくるはずです。
苔は乾燥状態が続くと休眠して茶色くなり、生長しなくなりますので、乾燥が激しい場所では普段から霧吹きをしておくといいですよ!
苔玉にカビが生えたときの対処方法
風通しが全く無い場所に置いていると、苔玉の表面に白いカビが発生することがあります。この場合は、そのまま風通しの良い外に出して苔を一度乾燥させるようにしましょう。
その後、ティッシュや綿棒などでカビを取り除き、規定よりも薄めに作った園芸用の殺菌剤を散布することで、カビの再発を抑えることが出来ます。
苔玉の肥料
苔のほうには肥料は必要なく、むしろ肥料を与えると苔が弱ってしまうこともあります。ただ、苔玉の中の栄養は限られているため、植えている植物にどうしても必要な場合は、ハイポネックスなどの液肥を使うようにします。
液肥にも様々な種類がありますが、基本的には規定量よりもさらに2倍ほど薄めたものを、水やりの水代わりに使用します。
追肥の時期は春や秋であることが多いですが、植えている植物にもよるため、植物に合わせた適切な時期に行うようにしてください。
苔は弱っていても基本的には肥料を与えず、日当たり・風通し・水やりで対処するほうが確実です。特に休眠期に、苔を元気にしようと肥料を与えると、枯らしてしまう可能性が高くなりますのでご注意ください。
苔玉の植替え
苔玉の植替え時期
苔玉の作り方にもよりますが、土を使用した苔玉の場合は、作成からおよそ2~3年ほどはそのままの状態で管理することが出来ます。
土を使わずに、植物の根鉢をそのまま苔でくるんだような苔玉の場合は1年以内に植替えをしたほうが良いでしょう。
また、植物の生長が良く、苔玉の球体に対して非常に大きくなってしまった場合や、苔玉から植物の根が飛び出している場合は、根詰まりで枯れてしまう可能性もあるため、早めに植え替えを行うようにしてください。
植替えの時期は、新しい芽が吹いてくる3月頃、観葉植物の場合は5月頃が適切な場合が多いですが、植えている植物の植替え時期を調べてから行ったほうが良いでしょう。
苔玉の植替え方法
まずは苔を固定していた糸を切って外し、苔を丁寧に剥がしていきましょう。苔を剥がすと、植物が生長している場合は土に根がぎっしりと張り巡らされているため、古い土を優しく洗い流してください。
このとき、根腐れをおこしているような傷んだ根や細い根はカットしておきましょう。また、植物をあまり大きくしたくない場合は、さらに根を切り詰めておきます。
ただし、根を切り詰めた場合は、葉や枝もある程度落とす必要があります。根の大きさとのバランスを見ながら間引くようにしましょう。(根や葉を切ると植物へのダメージは大きいため、植物が弱っている場合はおすすめしません。)
あとは、もう一度、苔玉を作成します。用土と糸は新しいものを使用しますが、植物を大きく育てたい場合は量も多めに用意しておくと良いでしょう。
まとめ
苔玉を元気な状態に保つためには、「日照」「風通し」「水やり」の3つが非常に大切になってきます。
苔玉の元気がなくなってきたら、置き場所を変えてみたり、水やりの頻度を変えてみたりして、育て方を工夫してみると良いでしょう。
管理には少し手間がかかる苔玉ですが、苔も植物も元気に育っていると、見ているだけで癒やされる最高のグリーンインテリアになりますので、ぜひ愛情をもって育ててみてください。
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